STAP論文

今話題のSTAP細胞について論文読んでないのにあーだこーだいうのもどうかなって思っていたのでSTAP論文を自分なりに訳してみた。厳密な訳というよりはパラグラフリーディング的に。あまり知識が無いため、その道の方が見たらおかしい所もあると思うけど、あくまで自分の備忘録あるいは現時点での読解力を記録するための目的も兼ねているので参考になさる方はそのつもりでどうぞお願いします。ちなみに半日くらいかかった。


Bidirectional developmental potential in
reprogrammed cells with acquired pluripotency

1. pH 5.7 30分刺激で脾CD45+細胞が多能性を獲得した。これをSTAP細胞と名付けた。STAP細胞は自己増殖性を持たないが、これをACTHとLIFに7日間浸けると自己増殖性を持つ細胞に分化した。これをSTAP幹細胞と名付けた。
2. STAP細胞は胚細胞注入にとって驚くべき事に胎児組織と胎盤組織両者に分化した
3. qPCRの結果、STAP細胞は多能性を獲得した細胞と胎盤由来の細胞の単純なmixtureとは考えにくい
4. 一方、STAP幹細胞は胎盤組織への分化能は失っていた。STAP細胞からSTAP幹細胞への分化の途中で失ったと思われる
5. Fgf4下で培養したSTAP細胞(Fgf4-induced cells)は栄養膜組織マーカー強陽性であった
6. Fgf4 induced cellsは特定条件下で効率よく分裂した。そのため、これを改めてFgf4-induced stem cellsと名付けた。
7. 胚細胞注入実験によってFgf4-induced stem cellsはSTAP幹細胞とは異なり胎盤組織への分化も認められた。しかし、Fgf4-induced stem cellsは胚盤胞由来の栄養膜細胞とは以下の点で異なっていた。I) Oct-4が発現していた。II)胎児組織へ分化した。III)Cdx2タンパク発現がわずかであった。IV)Fgf4存在下でないと死滅してしまう 以上である。
8. STAP cells, STAP stem cells, Fgf4-induced stem cells, ES cells,栄養膜幹細胞を比較するため全ゲノムRNA解析を行った。Whereas STAP cells formed a cluster with STAP幹細胞, Fgf4-induced stem cells, ES cells and trophoblast stem cells and not with the parentalCD45陽性 cells, STAP cells were an outlier to the rest of the cell types in the cluster.対照的にSTAP幹細胞はES細胞と似たクラスタを形成した。Fgf4-induced stem cellsはES細胞とSTAP幹細胞のサブクラスタクラスタを形成し、trophoblast stem cellsがこのクラスタに対しoutlierであったことはFgf4-induced stem cellsが多能性細胞であること密に関係していると思われた。
9. しかしながらFgf4-induced stem cellsの中にSTAP幹細胞が混入していた可能性も否定しきれない。先行研究で内細胞塊由来の多能性細胞はJAK inhibitor存在化で除去されることが報告されているが、今回Fgf4-induced stem cells にJAK inhibitorを加えてもOct4発現に影響は見られなかった。また多能性マーカーと栄養膜細胞マーカーについても同様に影響は見られなかった。このことから今回の多能性マーカーの発現は内細胞塊由来のSTAP幹細胞の混入でないことが示唆される。これはFgf4-induced stem cellsが栄養膜細胞マーカーとOct4陽性であることからも強く示唆される。
10. 特筆すべきことに栄養膜マーカーItga7強陽性のFgf4-induced stem cellsはLIFとFBを添加した培地において形態が大きく変化し、GFP強陽性のES細胞のような細胞塊を形成した。これらの細胞は多能性マーカーを発現したが、栄養膜マーカーは発現しなかった。またマウスにおいて奇形腫を作った。
11. Fgf4-induced stem cellsは栄養膜細胞と同様にFGF-MDKシグナルに依存していた。
12. 以上をまとめると、STAP細胞から得られたFgf4-induced stem cellsは多能性マーカーと栄養膜細胞マーカーを発現するだけでなくLIFとFBを添加下においてES様細胞への分化能も持っていることが示された。
13. STAP細胞は異なる培養条件下において2種類の自己増殖能を持つ細胞に分化することが示された。STAP幹細胞とFgf4-induced stem cellsである。クロマチン免疫沈降解析でもそれぞれ2つのパターンが見られた。
14. Oct4発現の違いから先行研究のどの細胞ともSTAP細胞は異なっていた。
15. 本研究でのKeyはSTAP細胞の分化能はES細胞の多能性を上回っており、内細胞塊と栄養膜細胞の状態に近い、よりワイドな分化能を獲得していた。STAP細胞から得られたFgf4-induced stem cellsに関しては、Fgf4-induced stem cells の双方向性の分化能はES様細胞と栄養膜幹細胞の共存によるものとは考えにくい。以上をまとめると、本研究においてSTAP細胞の分化能は体細胞に多能性獲得させるだけでなく栄養膜細胞への分化能も獲得させることが示された。